Aria Audio Limited 雅詠音響有限公司
SOULNOTE加藤の「もう少し言っておきたい！」シリーズ その251
【S-3 Type-R 回路の秘密 2】
DCバイアスカップリングについて
前回の続きです。
Type-R 回路で音質が大きく向上した理由の一つにDCバイアスカップリングがあるかもしれません。これは某雑誌の取材を受けている中で、ある先生に指摘され、なるほどと思ったことで検証はできていません。
DCバイアスカップリングとは、コンデンサに直流の電圧を与えておくことで、同じコンデンサでも音が良くなる・・と言う考え方です。その根拠は、箔にかかる物理的な圧力変化の違いです。例えば1Vのバイアスに対して1Vの信号が加わると圧力変化は2倍になるけど、10Vのバイアスを加えておけば、1Vの信号による圧力変化は1/10倍にしかならない。つまりDCバイアスが高いほど箔の圧力変化を抑えられるから音質が良くなる・・と言う説です。あらかじめ箔に圧力を掛けて締めると言う考え方もあります。
例えば有名なスピーカーのネットワークコンデンサに電池でバイアスをかけて音質向上を謳う例があるのを私も知ってはいました。しかし、バイアス電源や電池が入ることによる音質への影響の方が強いのでは？と懐疑的でした。
ところで、Type-R 回路は2段目が対アース増幅だと前回書きました。つまりGNDを基準に増幅する回路で理想的ですが、欠点は2段目のアイドリング電流でDC電圧が発生してしまうことです。これを、いつもの青いフイルムコンデンサでDCカットするのですが、意図せずしてDCバイアスカップリングになっているのです。もちろんバイアス電源や電池を使う必要はありません。これは、2段目の欠点を逆に利点にすることになり、これはType-R 回路の音質向上に一役かってる可能性はあります。
ただし、DCバイアスカップリングの検証は難しいのです。なぜならDCバイアスは自ずとかかるので、同じ条件でバイアスを加えないコンデンサとの比較ができません。回路を変更すると何を比較してるのか分からなくなりますし、今での回路で調整をずらしてオフセットを出すと、やはり調整をずらしたことによる音質の影響がでてしまいます。これ、厳密に比較した方いるのでしょうか？
